2005年09月23日

リッツ・カールトンの高いレベルのサービスの秘密


前回のトピック、「東京・銀座のフレンチレストラン、ロオジエ」に対して、冨田さん、nemoさん、深いレベルのコメントを書き込んでいただきましてありがとうございました。

本当にサービスというのは重要ですね。僕は、レストランにおいては、料理の味以上にお客の印象を左右する大切な事柄だと受け止めています。

そこで、今日もサービスについて書いてみようと思います。


最近発売された本、「リッツ・カールトンが大切にする サービスを超える瞬間」を読みました。

著者は、ザ・リッツ・カールトン・ホテル 日本支社長の高野登氏です。幸いなことに昨年の夏、彼のお話を聞く機会に恵まれました。背筋がすーっと伸びていて、笑顔を絶やさない、魅力的な方でした。

彼は、日本のホテルスクールを卒業後アメリカに渡り、様々なホテルで研鑽を積んだ生粋のホテルマンです。

リッツ・カールトンが大切にする サービスを超える瞬間



この本を読んで印象に残った点を要約して引用します。


お客がブランドを購入するときには、お客の中に期待値が設定されます。この期待値がブランドとしての約束です。ラグジュアリーブランドであればあるほど期待値は高くなります。期待値が100%満たされた場合、お客は満足するけれども、それはお客との約束を果たしているレベルに過ぎません。お客のニーズを満たすだけでは他の企業との差別化はできません。

では、圧倒的に強いブランドを確立するためには何が必要でしょうか。

それは、お客に満足してもらう100%のサービスを超えて「感動」を生み出すホスピタリティの舞台にステップアップすることです。お客が想像すらしていなかったサービスを提供していくことで感動を引き起こすのです。

さらに、感動を持続させることで、一段上の「感謝」へと進化させます。

このように「満足」から「感動」「感謝」のレベルを目指して初めて、お客に愛されるブランドへ育っていくのです。



では、具体的にどうすればいいのでしょうか。

その一例として高野氏は、サービスを「ジャムセッション」にたとえて、サービスの現場ではアドリブが必要とされ、役に立つとおっしゃっています。



たとえばベルマンが部屋まで案内したときに、お客が「今年の冬はきついね。空気が乾燥して喉が痛いよ」と言って軽く咳をしたとします。

普通のドアマンなら、マニュアルを思い出して、「お気をつけください。もし体調を崩されたらすぐフロントにご連絡ください。お薬も用意してありますから」と答えるでしょう。

しかし、スタッフ一人一人がマニュアル通りに自分の仕事をこなしたとしても、お客からすれば当然のことに過ぎず、そこから驚きや感動は生まれません。

もしスタッフがジャズプレーヤータイプだったらどうなるでしょうか。

ベルマンはお客を部屋に案内したあと、すぐに持ち場に戻らずに、ハウスキーパーやルームサービスに連絡を入れるかもしれません。それを受けたハウスキーパーは加湿器を届けるかもしれないし、ルームサービスが届けるウエルカムドリンクは、オレンジジュースからハーブティーに変わるかもしれません。これがサービスのジャムセッションです。

誰かのアドリブに誰かが応じることで、お客の想像を遙かに超えたサービスが生まれ、それが感動を引き起こす。それができるのは、マニュアル的なサービスを超えた瞬間です。

ただしアドリブは、基本となるマニュアルをしっかりマスターした上で行えることです。

まず基礎となるマニュアルを習得した上で、それにいかに縛られずに自分の感性を発揮するか。その感性が他のスタッフの感性と呼応したときに最高のサービスが生まれるに違いありません。



通常のサービスを超えたもてなしを実現させるための施策については、ほかに何点も具体的な方法がかかれていました。初代社長はこう言っていたといいます。「感動を偶然や個人の能力に頼ってはいけない。サービスは科学なのだから」

従業員へのエンパワーメント(決裁権)が規定されていることもそのひとつです。費用の心配をすることなく、従業員が思いきったもてなしをすることが出来るような仕組みが用意されているんですね。


当然、有名な「クレド」についても書かれていますよ。クレドはリッツ・カールトンのサービスと経営の根幹をなしているものです。全文が公開されています。詳しくは、ぜひこの本を手にとって読んでください。


この本から多くのことを学びました。サービス業に携わる方には、すぐに仕事で生かせられるでしょう。しかし、この本は直接的にホテル業に関わる表面的なノウハウを並べただけの本ではありません。ビジネスの本質を学ぶことが出来ます。さらに言えば、より高い人格を目指している全ての人に気づきを与えてくれます。おすすめです。


grazie_arigatou at 15:25 │Comments(4)TrackBack(0)この記事をクリップ!  

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この記事へのコメント

1. Posted by nemo    2005年09月25日 10:58
行ってきましたよぉ!!!

リッツカールトンっ!
すごかった・・・豪華やった・・・・
でも、スタッフの笑顔がやっぱりイチバン
良かったかなぁ。

レストラン内で、子ネズミのように走り回っていた、係の人がいて、デジカメで撮影してもらったり、紅茶をいただいたり、
結構、使いまわしてしまったけど、とても
親切で(当たり前やけど)気持ちよかったです。

クレドって、もらってくれば良かった・・・と今更ながら後悔・・・(汗)

心がけがあると、違いますよね!
2. Posted by フレディー    2005年09月26日 00:32
nemoさん

おおっ、リッツ・カールトン・ホテルのサービスを味わってきましたか。

やっぱり、施設以上にスタッフの力は大きいねー。

当たり前のことをするって、実は大変なことだと思います。いいサービスをしてもらえて良かったね。

クレドは、さすがにもらえないだろうけど、見せてもらえたらうれしいよね。

3. Posted by とらいあすりーと・改め、`てつじん'    2005年10月03日 21:14
僕はまだリッツカールトンを体験したことはありませんが、読み聞きしているだけでも十分に質の高さがわかります。この本は、実は接客サービスに従事して`いない'人にこそ読んでもらいたい本だと思います。非常に奥の深い内容ですね〜!「あなたのパラシュートを詰めるのは誰?」この項の意味をかみしめて読むといいでしょうね。
4. Posted by フレディー    2005年10月05日 23:37
てつじんさんもこの本を読んだんですね。いい本だよねー。

そのときの読み手のレベルに応じて得るものが違うでしょうね。だから、僕も何度か読み返そうと思います。

パラシュートの話、去年の講演でご本人からじっくり話を聞けました。陰で支えてくれている人がいるんだよねー。




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